ラウンダバウト

英語を教えています。自分の授業改善のためだったり、好きなモノ、コトをつづっていきます

初回の授業で話すこと

 またまた久々の更新です。2年前と現在追実践している「TANABUモデル」についてあれこれ書こうと思っていたのですが、そちらは現在別の媒体で発表される予定があるので、4月の初回の授業で生徒に語ることを覚書きとして残しておこうと思います。 

*以下で書くペア・グループ活動はコロナが心配される場合、ホワイトボードや、ミスプリントなどの裏紙で筆談させて実施することを念頭に置いています。

■自己紹介

 時間があれば、山本崇雄先生がご著書で紹介されている方法で行います。詳しくは、下の本をご参照ください。明確に狙いのある「自己紹介⇒生徒同士の紹介」なので、のちのちこの書籍で書かれていることを実践していかないとあまり意味がないと思います。ただ私が好んでやるのは教員の個人情報?(年齢や好き/嫌いな食べ物/血液型/星座など)をペア⇒班で予想してもらい、班対抗に。「予想でいいよ!」と言うと色々と勝手に予想してくれます。それぞれの班に英語で正解を確認しつつ自己紹介。1番正解数の多かった班には「Lindbergh検定3級」を進呈します(笑)

■持ち物や約束事の確認

 授業の約束事を確認します。年度末の生徒からの感想で特徴的なのはやはり「イエローカード」でしょうか。授業開始のチャイム時に正当な理由なく座っていない、授業中のマナー違反などに対して教員が出します。1枚につき授業時間1分延長です(笑) こちらはたしか中学校でご指導されている大塚先生か畑中先生の実践だったかと思います。

■なぜそのルールがあるかを確認

 「いい授業」の条件を生徒に考えてもらいます。すると「分かりやすい」「楽しい」「眠くならない」「先生が面白い」といった回答があがります。そこで、確かにそういったことも大切ですが、自分の授業ではペア・グループで活動してもらうことが多いことを話したうえで、なぜそうするかをまた考えてもらいます。定時制ではここがある意味勝負どころだと思っています。そして、ペア、グループで「見えない共通点探し」を通して、よりよいコミュニケーションとは何かを考えてもらいます。ここでは「構成的グループエンカウンター」などを意識してペア・グループを変えて数回行います。また、授業は教員だけが提供するのではなく、一緒に作っていくものだということを伝えます。これに関しては学期末のアンケートなどを通して、よりお互いにとって「受けてよかった」と思える授業にしたいからです。

■授業体験

 「授業」って何ですかね?と僕が生徒たちに投げかけます(笑) ここで多くの生徒が?という表情が多くみられる場合は『じゃあ、1コマ終わったときに何がどうなってたら「よい授業」だと思う?』とききかたを変えます。意外とここで意見が出てこないこともあるので、生徒が考えやすい部活で考えてもらうことも。詳細は省きますが、「分からなかったことが分かるようになる」「分かったと思っていた問題を間違える」「できなかったことができるようになる」「英文を授業中に覚えてしまう」「クラスメイトのことを知ることができ、新しい自分を発見する」そんな授業がいい授業だと思っています。というメッセージ。そんな授業にするためのルールであり、じゃあちょっとやってみようかと授業ですることを一足先に体験してもらいます。具体的には、1年生の場合は中学校の教科書の長めの文章を。2年生以降なら昨年度の教科書から長めの難しい文章を使って3つの音読活動をします。ただし持ってくる英文はアメリカ英語でr, l, f, v, th のいずれかが入っていて、リンキングや脱落、water のようなアメリカ英語に特有の現象もあるものをチョイスするのが私のこだわりです。

◎「リピートアフターミー」(必ず最初にやります)

 だいたいの生徒がリンキングや脱落、アメリカ英語、イントネーションに無自覚のことが多いです。そこでまた「リピートアフターミー」って何でやるの?と問います。「発音・読み方の確認」はすぐに出てきますが、「いや、みんな出来てないよ!私はそう読んでません」と衝撃の!?(想定通りの)事実を伝えます。時間があるときは、生徒にGoogle翻訳を音声入力で「英→日」にして、その英文を言ってもらうと面白いくらい認識されず、変な日本語訳がでてきて実際に「通じないのではないか」という体験をしてもらいます。「漫然と聞き、発音するのでは私の話あんまり聞いてないみたいで悲しいし、何よりリスニングの力が今以上にあがることは絶対ないです」と宣言します。ここから家元仕込みの発音クリニック(詳しくは下記の本などを参照)。生徒たちと笑いながら発音練習。楽しい時間です!

◎「Listen & Say」

 1文を音声的にほぼ正確に言えるようになったところで、チャンクごとの(私の場合は「意味順」によるチャンク)文の再生音読をします。ペアになり、一方がチャンクを言ったら、パートナーはそれを何も見ずに繰り返します。徐々にチャンクを長くし、1文言いきれたら成功とします。素材を長い文にしたことはここで活きます。生徒は、覚えるのに苦労します。そして私は巡回して、「いや、その発音違うよ(ニッコリ)!」とダメだし+アドバイス。また「1回でできるようになることを目指しているわけではない」ことも伝えます。けっこう重要なポイントです。なので、できるようになるまでやってみます。

◎「英⇒【日→英】」

 そして、先ほどの練習でどうしても達成できなかった人は、覚え方が合ってなかったかもしれないからと今度はこちらの方法を提示。ただ、この練習をする前に、先ほどのペアの片方に、英文の意味を言ってもらいます。すると答えられない人が割といます。「それも英語力あがらないよ!」と檄を。なので、先ほど「英文は言えた(ことになっている)」人にも有益な練習であることを伝えます。そしてペアの片方に英文を読んでもらい、パートナーはそれを日本語にしてから英語にします。この時もチャンク単位です。この際も音声面のフィードバックは忘れずに。そして時間に余裕があれば、その文を紙に再生してもらいます。で、またこれが綴りミスが多い多い(笑) これからの授業ではどうすれば書けるようになるかも体験してもらうことを伝えます。

■メッセージ

 生徒に音読の活動の感想を聞きます。数人にきくと「疲れる(た)」という感想が出てくるので、そうだよね、でも「それだけ頑張ってくれて嬉しい」というのことを伝えています。いや、本当にうれしいですからね。そして部活にたとえて『さっきやったことは私の中では部活でいうと毎回やる基礎練習にあたります。はちゃめちゃな練習方法じゃ効率が悪すぎるし、方法でも自分にあってなかったり、無理のある覚え方だと辛くなります。なので英語の力をつけることができる色々な方法を授業を通して体験してもらう予定です。今年はその中で自分に合うもの、サイクルを見つけてほしいです。中には先ほどのように疲れるものもあると思います。でも「できることしかやらない授業(練習)」と「ちょっと頑張ればできそうなことにチャレンジし続ける授業(練習)」どっちが1年間終わって力がつきそうですか?1年間一緒に成長していきましょう。』と伝えて終了です。