ラウンダバウト

英語を教えています。自分の授業改善のためだったり、好きなモノ、コトをつづっていきます

「なぜ英語教師は新出単語を10回書かせるのか?!」その1

 ものすごく久々の更新です。キャッチーで新書とかで販売されてそうなタイトルですが、これは先日どうしても話を聞きたくて部活終わりに速攻で電車に乗って千葉まで足を運んだ講演会の演題です。なぜこの講演会に参加したかったかというと、英語の綴りと発音の指導に関して、とても興味があったからです。いま教えている学校では、そこで苦労する子がたくさんいます。いろいろな書籍を読みつつ自分なりにフォニクスを取り入れていましたが、いまひとつ成果が上がっていないような気がしていました。もちろん、嬉しいことに「先生のおかげで単語が読めるようになりました」という生徒もでてきたんですが、どうしてもなかなか定着させきれない子もいてもんもんとしていました。そんな中、知った講演会。しかも講師はずっとお話を聞いてみたかった手島先生!これはもう行くしかない!と。肝心の内容ですが、おそろしく遅筆なので分割で書いていこうかと思います。少し時間がたってしまったので、実際の手島先生の発言と多少違うところも出てくるかもしれませんが、もしお気づきでしたらご一報いただけると幸いです。

 さて、まずは表題に関して。いきなり漢字の練習帳の写真がが出てきて戸惑ったんですが、新しい漢字を覚える時って繰り返し書かされましたよね?と手島先生。たしかに小学生のドリルとか漢字練習帳ってそうですよね。で、何のために繰り返し書かせるのかといったら①形を覚えるため ②筆順を覚えるため です。そしてこの習慣がそのまま英単語の練習にも用いられてしまったのではないかと分析されていました。そしてwentをウォントとかdifferentをディフィカルト読んでしまう子が意外に多いという事実に触れてらっしゃいました。そしてこれは漢字練習の意識で英単語の練習をしているから、なんとなく形(や長さ)でその単語を覚えて(認識して)しまっているのではないかと。boyのつもりが読ませるとdogとかえってきたこともあるとか。漢字は表意文字ですから字形と発音は無関係ですが、英単語は表音文字ですから綴りと発音の間には切っても切れない関係があるんですよね。そして、幸か不幸か英語で使う文字はローマ文字なので、中学生が思い浮かべるのはローマ字で、その知識を活用しようとするから賢いんだけど(おそらくboyとdogが温と湿ぐらい似ているように見えるのでは?なんてお話も)、それだと壁にぶち当たってしまうんですよね。ここでこれまでの単語の覚え方の実情を振り返りました。

a.繰り返し書く(上述)

b.綴りを読み上げる(「V-A-C-A-T-I-O-N、ヴェケイシュン」みたいに)

c.ローマ字読みする(dangerous→ダンゲロス)

d.英単語に分解する(together → to get her)

e.さらなる知恵を使う(バセバ11、手足生える)

でも、このa~eは「その場限りの対処法」なので恐ろしく効率が悪く、学習者の負担も大きいと手島先生。新しい単語が出てくるたびに対処法を考えなきゃいけなくなってしまいますもんね。そして「生徒の素朴な疑問」としてgoの三単現はなぜgosではなくてgoesなのか、bigの比較級はなぜbigerではなくbiggerなのかなど、オーディエンスに問いかけます。「短母音の場合は・・」とかありますけど、生徒は納得してますか?と。

penとcatが既習で読める子が初見のpet, can, pan, capを読ませたら彼らは読めるようになってますか?本来それができるようにしてあげないといけないですよね。なのでもっと綴りと発音の関係を丁寧に指導してあげないといけないのに「どうしてもこの単語が覚えられないんですけど」と生徒にきかれて「何回書いた?」とか「声に出して読んでるか?」と返していませんかと、ぎくりとする導入でした。さて、では実際に手島先生がどう指導されているかは次回の更新の時に書こうと思います。

 ちなみに生徒が漢字読みしているかどうかを確かめるには以下のようなことを確認してみるとわかるそうです。

〇単語の一部を隠して読めるかどうか(その単語が存在するかは別)

 went → wen○ → ○ent