ラウンダバウト

英語を教えています。自分の授業改善のためだったり、好きなモノ、コトをつづっていきます

すべての高校教師は「定時制」を1校以上経験すべきだ

 タイトルで分かる方には分かると思いますが、anf先生の過去の記事へのオマージュです。ありがたいことに前任校の卒業生から「コロナがおさまったら一緒に飲みませんか?」とか「相談したいことがあるんですけど」とかたまに連絡をいただきます。教員としての今の私のスタンスを作っているのは紛れもなく勤務していた定時制での体験です。そんなこんなで「時には昔の話を」ということで、これまでを振り返り、この先を考えるきっかけにしようと思います。それにしては過激なタイトルですが(笑)

 私の教員生活は「定時制」でスタートしました。といっても初任校でなく、非常勤講師の時からなんです。学部生時代から院生のときも、はじめは中学校を志望していたのですが、色々なご縁があり、院生の時に関東のとある定時制の高校で非常勤講師として働く機会を得ました。ここでは、やる気は空回りし、まったく上手くいかなかない毎日でした。初回の授業は聞いてくれたものの、甘い教師だと思われたのか、次の授業では頑張って作ったプリントも、見ようともしない。そんなスタートでした。中には自衛隊あがりの定年を過ぎた男性も生徒として在籍していて「もっと威厳を持った方がいい」とアドバイスをいただいたのもいい思い出です。私のツイッターのアイコンをご存じの方は見てわかる通り、おそらく「威厳」とは程遠い人相です(;^ω^) anf先生ではないですが、自分の「指導力」のなさに打ちのめされ、悩みながらやりましたが、やはり上手くいかず、生徒とぶつかるに日々でした。授業を含め当時の先生方には本当にお世話になりました。フォローなどかなりご迷惑をおかけしたと思います。ここで分かったのは「授業を聞くのは生徒にとって当たり前ではない」ということです。ほんとに衝撃的でした。ほんとに困って、担任の先生に普段はどんな様子なのかを聞いたり、部活を見に行ったり。文化祭にもお邪魔しました。そんな中で「授業どころじゃない」生徒がいることを知れたことは僕にとって大きなことだったと思います。もちろん授業も同僚の先生に、どんな風に授業をされているかも聞きました。幅広い層の生徒と先生がいらしたので様々な年代の英語の歌もやってみたりしました。そんなこんなで精一杯やっていたら、少しずつ授業を聞いてくれる子が増えました。また、定時制勤務なのに全日制の教頭先生にも面接の練習などをしていただくという機会にも恵まれ、試験もがんばり、いよいよ正式採用の通知が届きました。

 勤務先が分かる日はドキドキしていたと思います。電話をとって聞いた勤務先は聞いたことのない高校です。調べてみると定時制であることが分かりました。全日制でやりたいんだ!という希望は本当に全くなかったのですが、まさか初任校も定時制になるとは。なんというめぐりあわせだと思いました。

 自信はありませんでしたが、約2年くらい先ほどの職場で非常勤講師の経験があったので「こうしたらいいかな?」というアイディアはたくさんあり「興味を持てるようにする」「わかりやすく説明する」ような授業をしようと文字通り精一杯頑張りました。過去の努力が生きたのか、非常勤講師の時よりは「授業」らしい「授業」をすることできるようになった実感がありました。ただ、前の学校は「エネルギーが余っている子」が多かったのに対して、初任校は何らかの理由で「学校に通えなくなった」生徒と「エネルギーが余っている子」が混在するとても特別な空間でした。ここで先輩の先生方に教わったり、時には背中で語ってくださったり、生徒自身が語ってくれたことが私の教員としての一番の礎となっています。

 2年目になると担任のクラスを持ちました。そこで「授業」だけでなく様々な場面で生徒と関わることで、本当に多様な生徒、それぞれの価値観があることを知りました。そんなこと考えたことなかった!そんな理屈ある!?みたいなこともしばしば。詳細は書けませんが、追いかけっこもしたし、家庭訪問もかなりしました。

 そんな精一杯な日々の中で気づいたのは「どんな生徒も出来るようになりたがっている」ということです。それが確信に変わりました。それは授業だけでなく、はじめは部活で感じたことでした。でもそれが悔しくもあり、試行錯誤の毎日でした。授業偏重になっていたと思いますし、顧問を一緒にもってくださった同期の先生にもかなり迷惑をかけてしまっていました。それでも部活で全国大会に連れて行ってもらったこと、そこで顧問の先生方と話したこと、それまでの生徒との衝突ややりとりは何より刺激的でした。ほんとに僕はほとんど力になれませんでしたが、本当に宝物のような経験です。

 授業で生徒が頑張って、わかってできるようになって自信をつけていく。交友関係も広がる。クラスメイトの見方も変わる。時に「よっしゃー!」と喜び、時に「くそー!」と夢中になって練習する。そんな授業を目指して迎えた5年研の校内公開授業では、尊敬する先生方も見に来てくださり、多くのアドバイスとお褒めの言葉もいただきました。学校が変わっても未だにオンライン飲み会をする同期の先生2人も見に来てくれて「まじですごかったです。なんで先生を待ってる間、生徒は練習して待ってるんですか?部活みたいな授業がしたいって初任のころに言ってたの覚えてますけど、最初は「は?」って感じでした。でもいま分かりました。部活もあれくらいやってくれていいのに!」と率直な意見をもらえました。

 まだまだ書ききれないというか、言葉にすることで漏れていったり、うまく伝わらないところがあると思いますが、今の自分を見えないところで支えている経験だと思います。現任校でも、必要以上に自分を責めてしまう生徒や、クラスの友人関係に悩む子から相談を受けたら、「こんな自分だけれど、力になれることもあるかも。こんなことをしてみようかな?それともこういう話し合いからかな?」とか考えがいくつか思い浮かぶようにはなりました。タイトルは語弊を招きかねないものですが、何も「定時制に行けば万事解決!」とか「定時制を経験すれば、どこでもやっていける」とか、そういうことが言いたいわけではありません。自分の想像しないようなことがあっても、威厳があるタイプの教師でなくても(笑)?、生徒たち、先生方、家族や友人のおかげで、なんとか頑張ってやっていけそうです!というような『魔女の宅急便』のラストのようなご報告でした。もしよろしければ、こちらのポッドキャストもご視聴ください。〈[058] すべての高校教師は「定時制」を1校以上経験すべきだ #PC008(Lindbergh) (substack.com)

「意味順」と「四角化で視覚化」で短文英作文の指導②【授業中の指導】

 さて、続きということで、どうやって教科書に載っているような「短文英作文」を指導しているかを書いていきます。簡単にステップ分けすると以下のようになります。

 

①「名詞句」見つけ

②日本語の「意味順」仕分け

*田地野先生が提唱されているものに付け加えて、私は「意味順」を以下の表現にしております。

 「誰(何)が」「する(です)」「誰・何・どんな」「どこ」「いつ」

*オプションとして、↑の主語のボックスの前に「玉手箱」、「いつ」のボックスの後に「Why」を入れることもあります

③それぞれのボックスごとに英語化

④解答・別解の確認

④ボックスごとの音読/一気に音読

 

では、実際に例をまじえて。

 

例題)昨年彼が教えた生徒が、今ロンドンに留学している。

①『名詞のカタマリはどこかな?どこが四角化できそう?』

 ⇒「昨年彼が教えた生徒」を「四角化で視覚化」させる

   *この時に四角で囲むのは【生徒】というところだけなのも確認

②『じゃあ、「意味順」で言うと?〇〇さん!』

 ⇒『昨年彼が教えた生徒が/留学している/ロンドンに/今』です

 *この時生徒が悩んでいたらヒントを与えることもあります。特に日本語で主語が

  消えている文などは、「誰がー?」とか「主役は誰ー?」とかです

③『では、それぞれペアで話し合って英語にしてみて!わかったら立ってください。1番遅いところに発表してもらいます(二コリ)』*立てたペアは次の問題を考えておく

  ⇒ 解答とすり合わせ

 *名詞句の英語化で悩むことが多いので、前置修飾か後置修飾か「視覚化」の日本語を見て考えてもらいます。後者だとしたら、それをどう作るかのヒントを与えることもあります

 *「どんな」にあたるのに「名詞」を入れてしまう子もいるので、そんなときは品詞の話を折に触れします

 

①~③を繰り返し、すべての和文英訳の考え方、答えを確認する

 

④全体で「合いの手音読」

 *教科書の日本語だけを見て、教師は問題を指定し、

 教員『「誰(何)がー?』←個人氏名 or 全体かはその時の判断で

 生徒 "The CD I borrowed from Emily"(生徒は該当問題の英語を言う。)

 教員『「する(です)」はー?』

 生徒"was"...

⑤コース選択制音読活動(以下のA、Bはそれぞれ生徒を表します)

 1.A:ボックス内の日本語を言う B:ボックスごとに英語を言う

 2.A:「意味順」の区切りで一気に日本語を言う B:一気に英語化する

 3.A:もとの日本語を一気に言う B:一気に英語化す

 

 さて、いかがだったでしょうか。ここはどうなってるの?というご質問や、こういうステップがあると良さそうだよねなどアドバイス頂ければ幸いです!

 

余談:ちなみにECの文や、英表の左側の例文でも「意味順」で区切りを確認しています。特に「英語表現」の授業では教科書の右側の名詞句を英語にするドリルを経てから練習問題に取り組ませることもあります。「どこかに名詞句のカタマリがくるな」という感覚を養うのが意図です。それが来るのは「誰(何)が」か「誰・何・どんな」ボックスですよね。この間、間接的にですが『〇〇が「意味順」めっちゃ便利って言ってました。』と嬉しい報告を聞きました。教えてくれた子はまだ実感できてないかも(;^_^A

他にも、『「意味順」と「四角化で視覚化」を使うと(短文)英作文で覚えるべきところ無茶苦茶減りますよね?』って言われて、『そうなんだよ!よく気づいたねー!(授業中にもそういう話はしてますが)嬉しいわ!』という会話をしました。まだすぐに便利さを体感させられるだけの技量が私にはないので、じっくりじっくりいきます。

「意味順」と「四角化で視覚化」で短文英作文の指導①【前提となる指導】

  またかなり久々の投稿となりました。今回は表題の短文英作文、特に教科書レベルの日本文の英訳問題の指導です。といっても、とくに特別なことをしているわけではなく、諸先輩方のご指導を自分の授業に取り入れているだけなので、ご意見、ご指導いただけると幸いです。

前提指導①「意味順」

 まず前提となるのが田地野先生が提唱されている「意味順」を指導していることです。「意味順」って何?という方はこちらあたりが読みやすいかと思います。

誤解をおそれずに、ものすごくシンプルにまとめると、いわゆる「5文型」の指導でもいいけれど、「誰(何)が」「する(です)」「誰・何」「どこ」「いつ」という英語の文を構成する主要な意味のまとまりの並び順に当てはめて考える指導です。従来の5文型の指導でもいいのですが、O(目的語)やC(補語)の違いに混乱したり、場所や時を表す前置詞句の扱いや順番に悩むのは高校生でも多いです。高校生の時の私もアレルギー反応が出ました(笑)。英語学習の初期の段階で(不)完全自動詞やOO?OC?みたいなところで躓いて、英作文(口頭も含む)した文でコミュニケーションする楽しさを体験させてあげられないのは非常にもったいないと思います。「意味順」では「文法用語」は最低限ですみ、先に示したような7文型にも対応できます。また、短文英作文でありがちな「主語忘れ」も防ぐことができます。また、『犬と猫どっちが好き?』『私は犬』みたいなやりとりでI am a dog.みたいな文が出てくるのをかなり防いでくれます。他にも5文型と比べ利点が多いように感じ、〈[066] たなぶでまなぶ #PC013(Lindbergh) - by anfieldroad (substack.com)〉でも語っているのですが、EC、英語表現両方の授業に取り入れています。詳しくは上述のサイトのポッドキャストの該当部分をご視聴いただけるとイメージが湧きやすいかと思います。

 

【前提②「名詞句は四角化で視覚化」】

 こちらはanfieldroad先生が先ほどのポッドキャストやブログで、書籍では組田先生も同じような方法を提唱されております。ツイッターなどでは松井孝志先生が名詞句のカタマリを囲ませるという指導をされているという発信をされています。

お三方の指導には少し違いがあり、私は現在、松井先生の「名詞句は四角化で視覚化」という指導を追試しています。たとえば、I have a big dog.という文で名詞句全体だとa big dogをまるまる四角く囲む感じになりますが、「四角化で視覚化」ではこの文の冠詞と形容詞の部分は下線で、headnounであるdogを四角で一筆書きで囲います。詳しくは松井先生のブログやnoteをご覧ください。そして、これまたEC(の中で機会がなければ英語表現)の授業で、この「四角化で視覚化」をしていることも指導の前提となります。

 高校で英語に躓く理由は、名が体を表さぬ文法用語や先ほどの5文型などの影響もあると思いますが、後置修飾による名詞句のバリエーションがかなり増えることも大きな要因だと感じています。なので、その名詞句のストックを豊かにし習熟する方法の1つがこの「四角化で視覚化」だと思っています。そして、何より視覚化は「後置修飾」かそうでないかの判断が視覚的に簡単できることが強みの1つだと思っています。

 これらの前提を満たしていると、生徒が短文英作文をするときにすごく楽になります。また、この後の指導はものすごくシンプルです。今回はその①で《短文英作文の指導の前提編》ということでお送りしました。次回に続きます。

 

初回の授業で話すこと

 またまた久々の更新です。2年前と現在追実践している「TANABUモデル」についてあれこれ書こうと思っていたのですが、そちらは現在別の媒体で発表される予定があるので、4月の初回の授業で生徒に語ることを覚書きとして残しておこうと思います。 

*以下で書くペア・グループ活動はコロナが心配される場合、ホワイトボードや、ミスプリントなどの裏紙で筆談させて実施することを念頭に置いています。

■自己紹介

 時間があれば、山本崇雄先生がご著書で紹介されている方法で行います。詳しくは、下の本をご参照ください。明確に狙いのある「自己紹介⇒生徒同士の紹介」なので、のちのちこの書籍で書かれていることを実践していかないとあまり意味がないと思います。ただ私が好んでやるのは教員の個人情報?(年齢や好き/嫌いな食べ物/血液型/星座など)をペア⇒班で予想してもらい、班対抗に。「予想でいいよ!」と言うと色々と勝手に予想してくれます。それぞれの班に英語で正解を確認しつつ自己紹介。1番正解数の多かった班には「Lindbergh検定3級」を進呈します(笑)

■持ち物や約束事の確認

 授業の約束事を確認します。年度末の生徒からの感想で特徴的なのはやはり「イエローカード」でしょうか。授業開始のチャイム時に正当な理由なく座っていない、授業中のマナー違反などに対して教員が出します。1枚につき授業時間1分延長です(笑) こちらはたしか中学校でご指導されている大塚先生か畑中先生の実践だったかと思います。

■なぜそのルールがあるかを確認

 「いい授業」の条件を生徒に考えてもらいます。すると「分かりやすい」「楽しい」「眠くならない」「先生が面白い」といった回答があがります。そこで、確かにそういったことも大切ですが、自分の授業ではペア・グループで活動してもらうことが多いことを話したうえで、なぜそうするかをまた考えてもらいます。定時制ではここがある意味勝負どころだと思っています。そして、ペア、グループで「見えない共通点探し」を通して、よりよいコミュニケーションとは何かを考えてもらいます。ここでは「構成的グループエンカウンター」などを意識してペア・グループを変えて数回行います。また、授業は教員だけが提供するのではなく、一緒に作っていくものだということを伝えます。これに関しては学期末のアンケートなどを通して、よりお互いにとって「受けてよかった」と思える授業にしたいからです。

■授業体験

 「授業」って何ですかね?と僕が生徒たちに投げかけます(笑) ここで多くの生徒が?という表情が多くみられる場合は『じゃあ、1コマ終わったときに何がどうなってたら「よい授業」だと思う?』とききかたを変えます。意外とここで意見が出てこないこともあるので、生徒が考えやすい部活で考えてもらうことも。詳細は省きますが、「分からなかったことが分かるようになる」「分かったと思っていた問題を間違える」「できなかったことができるようになる」「英文を授業中に覚えてしまう」「クラスメイトのことを知ることができ、新しい自分を発見する」そんな授業がいい授業だと思っています。というメッセージ。そんな授業にするためのルールであり、じゃあちょっとやってみようかと授業ですることを一足先に体験してもらいます。具体的には、1年生の場合は中学校の教科書の長めの文章を。2年生以降なら昨年度の教科書から長めの難しい文章を使って3つの音読活動をします。ただし持ってくる英文はアメリカ英語でr, l, f, v, th のいずれかが入っていて、リンキングや脱落、water のようなアメリカ英語に特有の現象もあるものをチョイスするのが私のこだわりです。

◎「リピートアフターミー」(必ず最初にやります)

 だいたいの生徒がリンキングや脱落、アメリカ英語、イントネーションに無自覚のことが多いです。そこでまた「リピートアフターミー」って何でやるの?と問います。「発音・読み方の確認」はすぐに出てきますが、「いや、みんな出来てないよ!私はそう読んでません」と衝撃の!?(想定通りの)事実を伝えます。時間があるときは、生徒にGoogle翻訳を音声入力で「英→日」にして、その英文を言ってもらうと面白いくらい認識されず、変な日本語訳がでてきて実際に「通じないのではないか」という体験をしてもらいます。「漫然と聞き、発音するのでは私の話あんまり聞いてないみたいで悲しいし、何よりリスニングの力が今以上にあがることは絶対ないです」と宣言します。ここから家元仕込みの発音クリニック(詳しくは下記の本などを参照)。生徒たちと笑いながら発音練習。楽しい時間です!

◎「Listen & Say」

 1文を音声的にほぼ正確に言えるようになったところで、チャンクごとの(私の場合は「意味順」によるチャンク)文の再生音読をします。ペアになり、一方がチャンクを言ったら、パートナーはそれを何も見ずに繰り返します。徐々にチャンクを長くし、1文言いきれたら成功とします。素材を長い文にしたことはここで活きます。生徒は、覚えるのに苦労します。そして私は巡回して、「いや、その発音違うよ(ニッコリ)!」とダメだし+アドバイス。また「1回でできるようになることを目指しているわけではない」ことも伝えます。けっこう重要なポイントです。なので、できるようになるまでやってみます。

◎「英⇒【日→英】」

 そして、先ほどの練習でどうしても達成できなかった人は、覚え方が合ってなかったかもしれないからと今度はこちらの方法を提示。ただ、この練習をする前に、先ほどのペアの片方に、英文の意味を言ってもらいます。すると答えられない人が割といます。「それも英語力あがらないよ!」と檄を。なので、先ほど「英文は言えた(ことになっている)」人にも有益な練習であることを伝えます。そしてペアの片方に英文を読んでもらい、パートナーはそれを日本語にしてから英語にします。この時もチャンク単位です。この際も音声面のフィードバックは忘れずに。そして時間に余裕があれば、その文を紙に再生してもらいます。で、またこれが綴りミスが多い多い(笑) これからの授業ではどうすれば書けるようになるかも体験してもらうことを伝えます。

■メッセージ

 生徒に音読の活動の感想を聞きます。数人にきくと「疲れる(た)」という感想が出てくるので、そうだよね、でも「それだけ頑張ってくれて嬉しい」というのことを伝えています。いや、本当にうれしいですからね。そして部活にたとえて『さっきやったことは私の中では部活でいうと毎回やる基礎練習にあたります。はちゃめちゃな練習方法じゃ効率が悪すぎるし、方法でも自分にあってなかったり、無理のある覚え方だと辛くなります。なので英語の力をつけることができる色々な方法を授業を通して体験してもらう予定です。今年はその中で自分に合うもの、サイクルを見つけてほしいです。中には先ほどのように疲れるものもあると思います。でも「できることしかやらない授業(練習)」と「ちょっと頑張ればできそうなことにチャレンジし続ける授業(練習)」どっちが1年間終わって力がつきそうですか?1年間一緒に成長していきましょう。』と伝えて終了です。

クラスで神経衰弱!「何の達人?」

 久しぶりの更新となります。今回はHR活動編です。表題からすると「なんだトランプで神経衰弱ね」となりそうですが、もちろんただの神経衰弱ではありません!

クラスの子たちに作ってもらった学級目標をより意識してもらうための、そしてお互いのいい面をみてもらうための活動です。そして、ここには書きませんが、別の意図もあり、副担任の先生がアイディアを出してくださり、二人で一緒に考えました。

【準備】

①名刺カード(だいたいの学校にありますよね?)

②ペンのセットを班に1つ(油性でも裏写りせずに大丈夫でした)

の2点です。②はもちろん生徒が各自持っているものでもOKです。

【実際の活動】

⓪「テスト前の息抜きorテストのために記憶力アップのトレーニング」として生徒に趣旨を話します。今思えばここで学級目標を確認してもよかったかもしれません。

①生徒に隣の席の子が「何の達人」かを書いてもらう。

②プロジェクターか黒板に「達人の例」のリストを投影する

 (なければ手元に印刷した用紙を配ってもいいと思います)

③のちに書いてもらったカードを使って4~6人グループで神経衰弱をするので、書けたらペアの子にその内容でいいか確認する。そう思う理由を伝えるように指示します。

④合意出来たらグループで発表。さきほどの理由もシェア。

⑤神経衰弱のルール説明 *書いてあることを読み上げる

⑥神経衰弱開始!(枚数が少ないので、いきなり総どりになることもあります(笑))

⑦「早く終わったグループはもう一回どうぞ」とアナウンス。すべての班が2回はやったかなというところで、班のカードを預かり、他の班のカードとシャッフル!

違うグループのカードで神経衰弱開始!

⑨キリのいいところで「終わりにしてください」コール。

 最後に5つある「学級目標」のどれを意識した活動だったか班で考えてもらい、

 班の代表の生徒に発表してもらいます。この時に「正解はない」ことも伝えます。

⑩担任・副担からコメント

【活動の注意点】

*カードに書いてあることを読み上げるのがポイントです。

*また、授業中やLHRで「お互いの考えなどを知る活動」をある程度こなしている

 とよりよいと思われます。もしくは、お互いのことが分かってくる2学期以降が

 オススメの実施時期だと思います。

その日に副担の先生と相談して1時間くらいで考えて準備し実施した活動です。どうなるか二人でドキドキしていましたが、本当に盛り上がりました。ですが、最後の話し合いでクラスの課題も浮き彫りに。ですが、それを乗り越えるのと、そのままのクラス。どちらが皆さんの目指すクラスですか?と投げかけて終了です。

追記:全日制では副担任の先生はあまり教室に入ることが少ないイメージですが、私は基本手になるべく多くの方に関わっていただきたいので、できる範囲でLHRなどに来ていただければというお話をしていました。ありがたいことにかなり足を運んでくださる方で、私より生徒に慕われてます(笑)本当に有難いことです。いずれにせよ、少なくとも2人でみんなを見てるよ!ということが伝わるといいなと思います。

 

リピート・アフター・ミー

 Repeat after me.って英語の授業では先生方はどんな風に扱われているのでしょうか?私が最近意識しているのは、音声や意味、形式により意識してもらえるように、Repeat after me.のやり方を変えてみました。すると生徒の反応がこれまでとけっこう変わった気がしたので投稿してみます。

 まずは授業の帯活動でフォニクスを取り上げているので、本文の音読活動に入る前に、生徒に本文の読み方を予想させます。この時に、生徒は読めない・読み方に自信のない単語にシャープペンで下線を引きます。その後すぐに、ペアで確認。それからCDを流します。生徒は読み方が気になっているはずなので(そうであってくれ!)、普通に「CDで発音を確認してみよう」よりはましかな、と思ってこの形にしています。この時に、なぜそういう読み方になるか解説する単語もあります(2語以上の音声変化はこの後)。

しかし実際はここで生徒は読み方が分かった気になっているだけな気がしていました。ここからが私が行っているRepeat after me.の様子です。

 

私:「ほんとに分かったか確認していきますね。ではRepeat after me!

  At the age of twenty,」

生徒:「Aト ザ age オブ twenティー」 

私:「(ニッコリと)はい、残念!そういう風には読んでませんね。もう一度。

   At the age of twenty,」

生徒「At the age オブ twenティー」 

私:「おしい! At the ageまではよくなった!ofって強く読むんだっけ?」

生徒:「読まないです。」

私:「なぜ?」

生徒:「あんまり意味のない単語なので」

私:「じゃあどう読まれるんだっけ?ペアで確認して思い出して!-はい言ってみましょう!」

生徒:「At the age of twenティー

私:「いいねー!合格です!ただ、twentyのtの音はどういう風になることがある?」

生徒:「あ、消えます!」

私:「そうでしたね。なんでだっけ?」

       ~中略~ 

  「ではそっちの読み方でも言ってみましょう。せーの!」

生徒:「At the age of tweニ」

私:「上手い!ところで〇〇くん、意味は?」

生徒:「え?えーと・・・」

私:「あれ、意味を考えてなかったの?はいじゃあ、確認しましょう。」

    ~中略~

  「さて、主人公が20歳の時を頭に思い浮かべながらどーぞ!」

生徒:「At the age of tweニ」

私:「そうそう!そういう風に私は読みました!では次いってみよう!」

 

高校1年生のECはこんな感じでしつこくやっています。この他にも

「そんなスピードじゃなかったよ?」

「どこの単語が強く長くはっきりと読まれてた?(そういう単語はいくつあったでしょうか?ペアで推理タイム!)」

などもあります。慣れてくると「最初から音声の変化があるところは意識してね」だけで、1度目からだいぶいい音が聞こえてくるようになったクラスもあります。が、まだまだ僕の求める基準に引き上げられていないので引き続き頑張ります(^▽^;)

 *ちなみに、上述の指導はその音の指導は事前にやったことがある前提です。そうでない場合、つまり初めて取り上げる音声変化の場合はプロアクティブに指導してから、上述のような流れでやっています。また時間の関係上すべての文はとりあげず、音声変化があるもの、重要な文や、かなりneverのような強調して読まれる語がある文などに絞って練習しています。

見えない共通点

  今回はホームルームでも英語の授業でもできる活動のご紹介です。紹介といっても、すでに多くの先生がやられている活動だと思いますので、ご容赦を。

 私はホームルームで席替えをした後に、タイトルの「見えない共通点」というPA(プロジェクト・アドベンチャー)の活動をよくします。「共通点」というのが、これまで知らなかった人通しをつなげるきっかけになると思うからです。休み時間に「さっき好きっていってった〇〇だけどさー、昨日の〇〇見た?」「うそ!そんなんあったの見てねー!!どんなんだった?」なんて自然な会話が発生したりしますし、まったく性格の違う二人の共通点が見えたりして面白いです。

ちなみにパターンもがあって、

①人数変更

 ペア ⇒ グループ(4~5人くらいまでがやりやすい感触です)

②時間か個数変更

 「2分間でなるべくたくさん見つけよう」や「5つ見つかったペア(グループ)から座れます」

などでやっています。

 そしてコロナで厳しい状況ですが、細心の注意をはらって英語の授業で席替えをすることもあります。他の組と合同の授業もあるので、ほんとに「初めて話す人」が何人もいたりします。私は「縁」って大切だと思っていて、どこで一生の友が見つかるかは分かりませんが、少なくとも「誰とでも(馬が合わない人や苦手な人とも)会話や作業が一緒にできる」状態になって高校を卒業してほしいと思っています。私の授業ではそのために席替えをするよ!という話をします。そして上述の活動を英語でやります。

 何も難しいことはなく、Are you ~?やDo you ~? Did you ~? Can you ~?という中学校の「質問する文」を作って共通点を探していきます。ちなみにNoの共通点はノーカウントです(笑)

 授業の中では日⇒英のトレーニング的な活動もしますし、中学校の表現の復習として日⇒英の瞬間英作みたいな活動って割とメジャーだと思うのですが、英語を使ってコミュニケーションしながら、お互いのことを知っていき、よさに気付いていく。そんな体験をしてもらえたらなと思って、パートナーチェンジするとだいたい初めはこの活動です。そのうち「お悩み相談」なんかも英語でできるようにしたいなと思っています。