ラウンダバウト

英語を教えています。自分の授業改善のためだったり、好きなモノ、コトをつづっていきます

新年度の準備 やめたこと

 3月で卒業式のシーズンですね。最後の成績処理なども含めて、バタバタと過ごすことが多いこの月ですが、なんと新年度の準備もしますよね。新しいクラスはどんな子たちだろう。どんな授業ができるだろう。業務に追われながらも不安とワクワクの日々です。さて、今回は私が新年度の準備で変えたこと(やめたこと)を2つ+α、ご紹介します。もう既にやってらっしゃる方も多いかと思いますのでそんな方はご容赦を。

 ①週番を黒板に書く

 高校は、同じ生徒2人が1週間ごとにかわりで「日直」のようなことをする「週番」という制度が多いと思います。生徒に書かせることもできるのですが、出席番号順の次の人とその次の人はそんなことしなくても覚えてしまう生徒が多いです(学校によるとは思います)。そして私もワザワザ毎日チョークで書きたくない(笑) そこで、マグネットシートに生徒の名前を印刷して、切ったものを使うようにしました。ネット上でもその用途のワードやエクセルデータが簡単にダウンロードできるので、思いのほか簡単に作れます。 *参考文献↓

この作成に少し時間がかかってしまいますが、このマグネットシートは委員会決めや席替えでも活躍するので、1年間かなり活躍してくれます。何より、週番はこのシートを貼るだけです。え?黒板に他の生徒のマグネットシートを貼るスペースがない!?

安心してください、貼れますよ!  教卓の横に!(サイズの変更で対応も可能)

 

 ②掲示物などのラベルづくり

 さきほど紹介したもので「仕事増えとるやないかい!」と思われるでしょうが、大丈夫です。ちゃんと減ります!

 掲示物のラベル(「進路情報」など)をラミネート加工などもして丁寧に作っていらっしゃる先生は多いのではないでしょうか。「進路情報」なのか「掃除当番」なのか「食堂のメニュー表」なのか、教室の掲示物は職員室の机の上のごとくカオスになりがちです(笑) どこに何が掲示してあるか、おかげで生徒はすぐにわかりますよね。でも、やめました。私が作るのは。生徒が必要性を感じた段階で、生徒に作ってもらいます。学校にある材料や色ペンは提供します。すると、イラスト入りのかなり気合の入ったものを作ってくれます。これでけっこうな時間が浮くんです!「教室リフォーム」と題して行うこの活動で、部活用具入れを作ってくれたチームもありました。LHRなどでその時間をとっています。これも下記の本を見てやってみようかなと思ったことです。

もちろん、これをするには自分が生徒に語る理由が必要です。僕は「教室環境(&その雰囲気)は自分たちでよりよくしていける」という体験を高校生までに積み重ねてほしいと思っています。なので、自分たちの教室なのだから、自分たちで住みよくしようよ!と語りかけます。なので、自分のクラスには時間割が3つ掲示されてるクラスもあれば、逆にない時もありました。

 

ということで、2つご紹介しましたが、もう一つは生徒のちょっとした「不便」感を取り除くアイディア。ほんとにしょーもないですが、ご笑覧ください。

 

 〇体育館履きの置き場の流動化

 これは学校によりけりですが、現任校では「体育館シューズ」は教室後方のロッカーの上に、つりさげるスペースがあります。で、その脇に出席番号が書かれているのですが、これ、背があまり高くない生徒が上の方の場所になった時、取るのが微妙にめんどくさいんですよね。本校は、出席番号が書かれている部分にマグネットシートがつけられることがわかったので、何も書いてないマグネットシートを切り分けたものを人数分配布し、出席番号を書いてもらいます。そして、出席番号順にくっつけるのですが、その時に背の高さと合わない人や、席替えでとるのが面倒になった人は「誰かと交渉して場所をかえてよい」というシステムにしました。別に気にしない子も多いですが、一定数ニーズがあるようなので続けてみてます。

発音にこだわる理由は?

 私の授業は大学院で靜哲人先生に教わる機会があったのもあり、基本的に発音コンシャスになっています。単語のReapeat after me.やRead & Look Upなどでも、1年生音ころや私の授業を初めて受ける生徒には「私はそう読んでないよ(@v@)?というキューをたびたび出します。そんなことをやっていると生徒からは「そんなに発音って大事ですか?」って質問がたまにきますが、そんな時に見せるのがこの動画です。


www.youtube.com

この動画の1:15秒あたりからの文(日本語)を真似してもらいます。動画をご視聴いただけると分かりますが無理なんですよ(笑)。なので、リスニングが上達するための条件で、以下の2つを生徒に出させます。

①そもそも単語を知っていなければ聞き取れない

②知っている単語でも、自分の思っている「音声イメージ」と違うと聞き取れない

これを体感してもらうのは個人的に大きいと思っています。先ほどの質問が出る前に、リスニングの指導を始めるときに見てもらうことが多いですが、初めて受け持つ生徒がいる場合も見てもらいます。1度見ている生徒(特に2・3年生でシャドーイングをやろうとしている生徒)には別の質問があるので、既に見たことのある生徒にとっても、「適切な」音読方法を見直す機会になってくれたらと思っています。

影響を受けているブックリスト(書籍、勉強になった度★は不定期で更新)

〇座右の書

『(英語)授業改革論』(教育出版、田尻悟郎)★★★

『英語授業の心・技・体』(研究社、靜哲人)★★★

齋藤孝の相手を伸ばす!教え力』(宝島社文庫齋藤孝)★★★

『ヒューマンな英語授業がしたい!』(研究社、中嶋ほか)★★★

 

〇(英語)教員としての自分を見なおす

『成長する英語教師をめざして』(ひつじ書房、柳瀬ほか)★★★

『英語教師は楽しい』(ひつじ書房、柳瀬ほか)★★★

『英語にとって授業とは何か』(三友社、寺島隆吉)★★★

『英語にとって学力とは何か』(三友社、寺島隆吉)★★★

『教師としてシンプルに生きる』(東洋館、若松ほか)★★★

『リフレクティブな英語教育を目指して』(ひつじ書房、吉田ほか)★★☆

『教師のための「なりたい教師」になれる本』(学陽書房、栗田ほか)★★★

『教師のNG思考』(東洋館、土居正博)★☆☆

『学校でしなやかに生きるということ』★★★

 

定時制で教える・教わる

『授業づくりをまなびほぐす』第Ⅱ部(静岡学術出版、阿部・伊藤)★★★

『学びをつむぐ』(大月書店、金子奨)★★☆

『「協働の学び」が変えた学校』(大月書店、金子ほか)★★★

『英語教育が甦るとき』(明石書店、山田)★★☆

『動機づけを高める英語指導ストラテジー』(大修館、米山ほか訳)★★☆

『みちこさん英語をやりなおす』(ミシマ社、益田ミリ)★★★

『協同学習を取り入れた英語授業のすすめ』(大修館、江利川春雄)★★☆

『だから英語は教育なんだ』(研究社、三浦ほか)★★☆

『つまずく生徒とともに』(三省堂、小川・若林)★★☆

『子どもが英語につまずくとき』(研究社、天満美智子)★★☆

『絶対発音力』(The Japan Times、靜哲人)★★★

『英語授業に悩んだら読む本』(学陽書房、大塚謙二)★★★

チャンツでノリノリ英語楽習』(NHK、高橋一幸)★★★

チャンツで楽習 決定版』(NHK、高橋・田尻)★★★

『中学英語50点以下の生徒に挑む』(明治図書、瀧沢広人)★★☆

『英語授業のユニバーサルデザイン』(明治図書、瀧沢広人)★★★

『荒れ・しらけと戦う!英語授業の鉄則&活動アイディア』(明治図書、岡田栄司)★★☆

『読み書きが苦手な子どものための英単語指導ワーク』(明治図書、村上加代子)★★★

『はじめてのジョリーフォニックス』(東京書籍、山下監訳)★★★

☝「スチューデントブック」「ティーチャーズブック」2冊とも

 

〇英語の授業をつくる or 教材研究

『明日の指導に生かす「意味順」英語指導』(ひつじ書房、田地野ほか)★★★

『英語授業の「型づくり」』(大修館、語学教育研究所)★★★

『高校英語授業を知的にしたい』(研究社、三浦ほか)★★★

『英語は「教わったように教えるな」』★★★

『英語授業の心・技・愛』(研究社、靜ほか)★★★

『英語のつまずき超指導法』(明治図書、安木・胡子)★★★

『英語語彙指導の実践アイディア集』(大修館、相澤・望月)★★★

『小学校の模擬授業とリフレクションで学ぶ 授業づくりの考え方』(くろしお、渡辺貴裕)★★★

『和訳先渡し授業の試み』(三省堂、金谷憲)★★☆

『レッスンごとに教科書の扱いを変えるTANABU Modelとは』(アルク、金谷ほか)★★☆

『英語運用力が伸びる5ラウンドシステムの英語授業』(大修館、金谷ほか)★★☆

『英語授業デザインマニュアル』(大修館、山岡・田頭)★★★

『Q&A 高校英語指導法事典』(教育出版、樋口ほか)★★★

『学びをみとる』(新曜社、五十嵐ほか)【待機中】

『若い英語教師のための教材研究入門』(大学教育出版、小橋雅彦)【待機中】

『至極の英語授業づくり&活動アイディア』(明治図書、奥住ほか)★★★

『なぜ「教えない」授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP、山本崇雄)★★☆

『プロ教師に学ぶ真のアクティブ・ラーニング』(開隆堂、中嶋洋一)★★★

『よりよい英語教育を目指して』(大修館、斎藤・鈴木)★★★

『アウトプット重視の英語授業』(教育出版、伊東治己)【待機中】

『英語授業の裏技指導術』(明治図書、小頭英和)★★★

『「けテぶれ」宿題革命』(学陽書房、葛原祥太)★★☆

『自由進度学習のはじめかた』(学陽書房、蓑手章吾)【待機中】

『英語教師のための発問テクニック』(大修館、田中・田中)【待機中】

『英語授業ルール&活動アイディア』(明治図書、胡子美由紀)★★★

胡子先生の研究授業のDVD(ジャパンライム)はぜひ

 

〇学級

『授業で学級をつくる』(東洋館、土居正博)★★★

『かかわり方のまなび方』(ちくま文庫西村佳哲)★★★

『イラスト図解 AさせたいならBと言え」(明治図書、岩下修)★★★

『バラバラクラス 空回りクラス 指示待ちクラス どう育てる?』(東洋館、岩本直己)★★★

『問題行動の意味にこだわるより解決志向で行こう』(ほんの森出版、森俊夫)★★★

『クラスのちからを生かす 教室で実践するプロジェクトアドベンチャー』(みくに出版、プロジェクトアドベンチャージャパン)★★☆

『クラスづくりの極意』(農山漁村文化協会、岩瀬直樹)★★★

『よくわかる学級ファシリテーション①』(解法出版、岩瀬直樹)★★★

『よくわかる学級ファシリテーション②』(解法出版、岩瀬直樹)★★★

『よくわかる学級ファシリテーション③』(解法出版、岩瀬直樹)★★★

『子どもとつくる教室リフォーム』(学陽書房、岩瀬直樹)★★☆

ファシリテーションを学校に!』(ほんの森出版、青木将幸)★★☆

『居心地の悪くないクラスづくり』(東洋館、めがね旦那)★★☆

『不適切な関りを予防する 教室「安全基地」化計画』(東洋館、川上ほか)【待機中】

『感じるオープンダイアローグ』(講談社現代新書、森川すいめい)【読書中】

『オープンダイアローグ 私たちはこうしている』【待機中】

『学校は何をするところか?』(中村堂、苫野・菊池)★★☆

『教育の力』(講談社現代新書、苫野一徳)★★☆

『菊池省三365日の言葉かけ』(明治図書、菊池省三)★★☆

『学級を最高のチームにする!365日の集団づくり 高校』(明治図書、赤坂ほか)★★☆

『こういう時に人は動く』(ディスカバー、弓場訳)【待機中】

『攻める学級経営』『守る学級経営』(東洋館、三好真史)【待機中】

 

〇学習法

『英単語学習の科学』(研究社、中田達也)★★★

『英語教師のための第二言語習得論[改訂版]』(大修館、白井恭弘)★★★

『10年間勉強しても英語が上達しない日本人のための新英語学習法』(集英社、小川訳)★★★

『英語学習の科学』(研究社、中田・鈴木)★★★

『英語学習論』(朝倉書店、青谷正妥)★★★

『究極の英語学習法』(角川、中田達也)★★☆

『Q&A即決英語勉強法』(教学社、竹岡広信)★★☆

 

〇教材づくり

『中学レベルでどんどん身につく 話せる!英語音読 初級編』(日本実業出版、浦島ほか)★★★

『L&R デュアル英語トレーニング』(コスモピア、長沼・河原)★★★

『リテリングを活用した英語指導』(大修館、佐々木啓成)★★☆

『中学3年間の文法・単語・発音が1冊で身につく!』(NHK、田中敦英)★★★

『英語科自学のシステムマニュアル』(明治図書、田尻悟郎)★★☆

『英語家庭学習指導ガイドブック』(明治図書、上山晋平)★★★

『田尻悟郎の英語教科書本文活用術』(教育出版、田尻悟郎)★★★

『自由英作文はじめの1冊』(アルク工藤洋路)★★★

『ここで差がつく!英文ライティングの技術』(トフルゼミナール、鈴木健士)★★★

 

〇音読指導

『英語コミュニケーションの基礎を作る音読指導』(研究社、土屋澄男)【読書中】

『音読指導アイディアBOOK』(明治図書、小頭英和)★★★

 

〇リーディング指導

Coming Soon !?

 

〇リスニング指導

Coming Soon !?

 

〇ライティング指導

アメリカの小学校に学ぶ 英語の書き方』(コスモピア、リーパーすみ子)★★★

『「英語モード」でライティング』(講談社、大井恭子)★★★

『〈意味順〉英作文のすすめ』(岩波ジュニア新書、田地野彰)★★★

『パラグラフ・ライティング指導入門』(大修館、大井恭子ほか)★★★

『即戦力がつく英文ライティング』(DHC、日向清人)★★★

『英語でロジカル・シンキング』(研究社、遠田和子)【読書中】

『英語ライティングの原理原則』(テイエス企画、山岡大基)【待機中】

 

〇文字指導(音と文字の一致)

『これからの英語の文字指導』(研究社、手島良)★★★

『スラすら・読み書き・英単語』(NHK、手島良)★★★

『英語の発音・ルールブック』(NHK、手島良)★★☆

『読み書きが苦手な子どものための英単語指導ワーク』(明治図書、村上加代子)★★★

『はじめてのジョリーフォニックス』(東京書籍、山下監訳)★★★

☝「スチューデントブック」「ティーチャーズブック」2冊とも

 

〇音声・スピーキング指導

Coming Soon !?

タ〇ちゃんシート(「意味順英作文」用)

 そういえば公開していなかったと思い、私が特に前任校や英語表現Ⅰで使用していた「意味順」対応のワークシートを掲載します。白黒印刷でも使えますが、可能ならカラーコピーだと説明しやすいところもある(主語と動詞にあたるところは基本必須なのでカラーになっている)と思います。もし、エクセルデータで形式などを整えたい方は、お手数ですがTwitter(現X」にてお伝えください。

定時制高校勤務の時に使い始めたこともあり、A3印刷を想定しています

*田地野先生が提唱された元の「意味順」と異なり、3つ目のボックスには「どんな」という要素を足しています

 

こちらから閲覧orダウンロードしてください

drive.google.com

「意味順」と「四角化で視覚化」で短文英作文の指導③【授業中の指導】

 さて、この授業での指導シリーズの①②の後にやる活動の紹介です。といっても、みなさんやられていることが多い活動だと思いますのでご容赦ください。

 それは「ターゲットセンテンスの前後の英文を考える」というものです。高校の英語表現や「論理・表現」の教科書(旧課程)の多くの英作文問題は、文法ベースが主で文脈から切り離されており、いまいち使う場面やタイミングが印象に残りづらいところがあるのが課題の一つに感じています。扉?のページにはモデルダイアログがあり、場面が示されていますが、今回はそのページではなく、見開きの左側に解説、右側に問題があるパターンの旧課程の教科書の、英作文問題に関しての取り扱いです。

(*「いや論理・表現はそうなってないでしょ」と思われる方もいらっしゃると思いますが、教科書でなく準拠ワークを買わせて(こちらが英語表現時の文法ベース形式が多い)でこちらをメインで使ってる学校、多くないですか?」)

 

 例えば「助動詞+have+-ed/en(過去分詞)形」は英検準一級の面接でかなり使いますし、現実でも言います。なので『「過去の後悔」とかによく使うよ~』という一言ですませるのではなく、前後の文脈を考えてもらうことを通して、もしくは少なくともよい例をいくつか示すことで使う場面・タイミングは提示しておきたいです。そして、個人的にこだわっているポイントは以下にまとめてみました。

⓪英作文の問題から、使う文を決める(空所補充や並び替え文でもよい)

①必ず3文作る

 *「文+ターゲット文+文」か「文1+文2+ターゲット文」か「ターゲット文+文1+文2」の形にする

 *他の2文も「意味順」にあてはめて考えてみる

②落ち(笑い)を入れること

 *これは英語が伝わった目安になる指標として組み込んでます

 *ChatGTPに頼んでも、それでそこのみんなが笑う文章になるかは分からない

 *なので、教師自身も作っておきます(私はスベることが多い)

③実際にスキットの形で演じてもらう

 これで「日本語で会話するように」やれるまで練習←でないと笑いが起きないことも

④発表

 *回収してベタ打ちして、次の時間の頭に読み物教材?として使うことも多いです

⑤完成品?を書いて提出

 *正確に伝わるかどうか怪しい文に赤線を引いてもらって提出

  (教師はそこだけ添削)

 この活動は毎回やる(やれる)わけではないですし、すべての英文ですることは(私の腕では)時間的に不可能です。⓪の「使う文」はこちらで指定したりもします。また、ターゲット文は既に答え合わせをしているので、そこを修正する必要はないことも添削をするうえで楽です。基本的にはグローバルエラーは直しますが、3単元のsが抜けるなどは、1年生の時は大目にみてました(伝わる重視)。異論や、「こうした方がもっとよくなるのでは?」というご意見を頂けるとありがたいです!

補習授業での(自分への)モヤモヤ

 今高校3年生の夏の補習を担当しています。私にとっては、現任校に異動して初めての進学のための?英語指導ですが、悪戦苦闘していて(自分で納得できる形にとうていなっていなくて)、生徒にも非常に申し訳なく思います。

 「こうじゃないんだよな」「教えていていつもの『自分も楽しい』がないぞ?」と何かずっとモヤモヤしていたものがありました。その霧を晴らしてくださったのは、先日の研修での講師の中学校の先生の授業であり、その映像の中の生徒の姿でした。失礼を承知で書けば、私には「日本語でやり取りしているように軽やかで、自然な流れで、誰かが言葉を選んでいても、嫌な沈黙の空気にならない」生徒が安心して発言できる授業に見えました。また、そのムードを作り出すためには、色々な配慮・苦労があったのだと思います。あの空気感は学部時代から今もお世話になっている、奥住桂先生(埼玉学園大学)の中学校在職時の授業を思い起こさせるもので、それは私にとっては原点でもありました。

 定時制で私の教員生活はスタートし、これまでの授業では安心感・達成感・伸長感、何より、英語でコミュニケーションすることの楽しさ、できること(言いたい、言えること)が増えること、そしてそれが伝わることの嬉しさ、もしくは世界が広がるような感じ、メガネやコンタクトをした時の、これまでに見えていたはずのものが、再び色鮮やかに輪郭を伴って見えるような感覚を体感してもらえたら、という思いで授業をしてきたつもりでしたが、先ほどの補習ではそんなことはほとんどしていなかったことに気づきました。(せめてできたことと言えば、20ある文章の中からこれは中身が面白いぞという物を選び、この順番でやると英語に対して気づきが増えるのではという順番で扱ったくらいです。)「それが進学補習でしょ」と言われればそれまでですが、本来なら高校3年生という、1番できることが多く、将来への不安も多く、誰かと話したく(相談したく)なったり、英文や小論文などを読んで身近な世界や、外への興味も一層増している時期に、入試問題を解くためだけにやっているような英語の授業はなんて「豊かさ」とはかけ離れているのだろうと思います。

 2学期もいわゆる「過去問」や「予想問題」を使った授業が待ち構えています。もちろんですが、ブロークンな英語でもコミュニケーションすることが大切だとか、そういうことを言いたいのではありません。力をつけながら、今だからこそできる、その教室のメンバーだからこそできる「豊かな学び」というのを探っていきたいと思います。それより「入試問題が解けるようになりたい」という生徒の声が聞こえてきそうですが、研修の講師の先生と、相談にのってくださったanf先生のおかげで、

両立できるのでは?両立させるには?

というマインドになってきた気がします。ようやく僕の夏休みの宿題?にとりかかれそうです(笑)

*そういう研修を企画してくださったセンターの方にもここで感謝申し上げます。

発音でPK対決!

 久々の記事になってしまいました。みなさんは音声指導&リスニング指導として普段どんな活動をされているでしょうか。昨年度まではグーグルのドキュメントを使った音声指導もしていたのですが、下準備にアドレスが必要など、いろいろと手間がかかる面もあります。また、アプリによっては日本語発音(不要な母音挿入など)を勝手に予測変換してくれるものもあるのですが、それは指導においてはマイナスです。ほかにいい手段がないか試していたところ、なんと生徒が発見しました!

 それはGoogle翻訳の音声入力です。こちらのほうは検索エンジンで「Google翻訳」と入力して、マイク機能でターゲットとなる文を言えばいいだけなので、かなり楽でした。*ただし画面上で音声入力を「英語」⇒「日本語」にする必要があります

Googleの音声入力はこってこての日本語発音だとまったく違う文として認識をしてくれます。また、その訳も表示してくれるので「最低限通じる発音」で言わないと正しい文が入力されないので、対応した訳もでてきません。高校以上でスマホを持ち込みができる場合はもしよければお試しください。以下、授業での簡単な流れです。

 

①リスニングの力をつけるには、少なくとも音源と同じように読めることが必要だという説明をする(そうすれば聞き取れるようになる)←生徒は「そんなことないでしょ」という顔

②リスニング教材などを使って(もしくはリンキングやリダクションのおこる英文を使って)ディクテーションをしてもらう。

③通常は聞き取れない(書きとれない)生徒が多いです。たぶんその文みんなちゃんと言えない(認識されない)よ!と煽って(笑)、音声入力の方法をプロジェクターで説明します。で、生徒にやってもらうとだいたい正しく認識されません。

④そこで教員がおおげさに「こてこての日本語発音」で言うと認識されないということを改めて見せて(変な日本語訳も読み上げてくれて一笑いおきます)、その後に教員のモデルを画面で示します(実際に手持ちのスマホや学校のPCに音声入力してください)。「英語」の音で読んで「認識される」ことを見せつけます(笑)←けっこう「おー!」という反応をしてくれます。

④「では先ほど聞き取れなかったものを言えるようにしてみましょう。」と音声指導を開始。言えない原因を指摘、アドバイスをしながら音声入力を繰り返させます。すると「うわ!見て!できた!!!」という声が広がります。

⑤ペアになってPK対決

 ここで「ペアで発音PK対決をします!」と宣言。じゃんけんで先攻後攻をきめてもらい、先攻から「せーのでシュート(音声入力)してね。」と言ってからペアの片方がトライします。結果は成功でも不成功でも相手に見せます。成功ならどや顔で(笑)。今度は後攻の人に一斉音声入力してもらい、見事認識されたら引き分けです。ターゲットとなるセンテンスを3つくらい選んでおくと、どちらかが勝つことが多いです。

⑥もとの音源をもう一度聞き、音が聞き取れるようになったかを確認。そのあと可能なら同じポイントを含む文を新たにディクテーションします。

 

けっこう夢中になってやってくれて驚きましたし、もっとよい活用方法がありそうです。実践されている先生いらっしゃましたら、ぜひご教示ください!